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変な文字みつけた2(2003年2月11日)

リキュールのビンのラベルの行書
(つじつまのあわない筆の動き)

行きつけの酒場にあったリキュールのビン、ここに変な字が書いてあった。
我慢できないぐらい変な字である。
「変な字だ」とバーテンに言ってもどこが変なのかわからないらしい。どこが変なのか考えてみよう。

なお、これはこの字の作者やメーカーを糾弾するために書いているのではない。
身近にある題材を使って文字について考えようとしているだけだ。
その点をご了承いただきたい。

こんな雑文でも一応著作権法で守られています。無断転載はしないでください。

左がそのビンの写真である。他の字も変なのだが、説明しやすい「紫」をとりあげる。

これが文字だけを抜き出したものである。
なにか変だとはおもわないか?

この字の筆の動きを赤で示した。
A地点では左下にハネているのに、次に書く筆画のB地点では左上から入っている。A地点からB地点にはどのような経路を通って行けばよいのだろうか。Aでは下ではなく上に行かなくてはおかしい。下に続くのなら「糸」はもっと下になくてはおかしい。
野球にたとえてみると(別に野球が好きなわけではないが)、ライトからバックホームされる球をレフト方向にミットを構えているようなものである。
CからDへ、EからFへの経路も同じようにおかしい。
みなさん筆をもったつもりでなぞってみてほしい。

本来たどるべき経路を緑で示した。
このままの形で書くならこうするしかないだろう。

文字の形はそのままで、筆の離れ際、着き際だけをレタッチしてみた。
このように筆が紙から離れる形と筆が紙に接する形に破綻なく書いて欲しいのである。

元の字をさらに見ていくと、Eのハネは長い。長いということはゆっくりと筆が紙から離れているということだ、だとすれば、下の柏書房『くずし解読字典』の例のように、Fはもっと遠くに着地しなければならない。
Fの位置に着地するのであれば、その下の二玄社『新書道字典』の例のようにEのハネはもっと短くなければならない。その場合、早く巻き込み、Fの起筆はもっと立っていないとおかしい。

これについては次ページで。

柏書房『くずし解読字典』より

二玄社『新書道字典』より

「紫」の伝統的な字体。

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